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走れアイン(2)


「金2,000!?」
「何だ、不満かい?」
店主の弾き出した予想外の額に、アインは自分が夢を見ているのではないかと思ったが、そうではないらしい。頬が痛い。
「とっ、とんでもない!」
ぶるんぶるんと首を左右に振った後、アインは店主の手を握り締め、目を輝かせた。
”その気”の無い店主は一瞬臆したような表情を見せたが、すぐに元の冷静な顔を取り戻し、アインの手に包まれた自分の手を引っこ抜いた。
「ちょっと待っててくれ。金庫から金を取ってくるんでな」

閉店間際の狭い店内に一人残されたアインは、しばしの別れとなる相棒の顔を見つめた。
「お前に金2,000もつくとはな。このままの方がいいんじゃねぇ?」
皮肉を言われた当の本人は、コメカミに血管を浮かび上がらせて反論したい気持ちでいっぱいであったが、それは許されない。
表情ひとつ変えず微笑んだままだが、内心では噴火した火山口からマグマが流れ出していた。
彼女が誰にも聞こえない声でアインの悪口を一通り言い終わった時、店主がずっしりとした重量感ある布袋を持って戻ってきた。
「ほら、代金だ。確認してくれ」
「お…おお…」
アインは袋の口から中身を覗き込み、よだれを垂らす。
「返済は1ヶ月以内。利息は1割だ。期限内に全額返済出来なかったら、こいつは流しちまうからな」
「わかってますって!ほんじゃどーも!」
満面の笑みで手を振りながら去っていく客を、質屋の主人はちょっと引いた目で見送った。





「借りた金とは言え、リッチな気分だなこりゃ」
アインは鼻歌混じりに夜の繁華街を闊歩していた。
まずは鳴いて止まない腹の音を止めるべく、手頃な飲食店を探す。いつもならば露店で安いカワネズミの串焼きをかじりながら歩くのだが、たまには店内でゆっくりと食事を取るのも悪くない。それに今なら食費は一人分で済む。
「ま、少しくらいならいいか」
大金を抱えたアインは、薄汚れた小さな食堂へと入って行った。

「はい、いらっしゃい。何にしましょ?」
恰幅の良いおばさんが客に水の入ったグラスを差し出し、注文を聞く。時間帯が遅いからか、それとも単に流行っていないからか、他に客は誰もいなかった。
「カワネズミていしょ―」
「はい、カワネズミ定食ね」
「ちょっと待った」
注文を伝票に控える店員を、アインが止めた。
「やっぱり”一角牛づくし”で」
「え?アンタこのメニューは団体さん用だよ。一角牛なら定食も―」
「いや”づくし”でいい」
「…食べられるのかい?」
「食べてみせる」
「結構高いんだし、残しちゃったら勿体無いよ」
「食べてみせる」
大きなお世話だとでも言いたそうな客の表情に気が付いたのか、店員はそれ以上は何も言わず、厨房で一人待機していた主人に向かって注文を伝える。
「はい、牛づくし一丁!」
「あいよ、牛づく……ええ!?」
今度は食堂の主人がアインに同じ質問をする番となった。





”closed”と書かれた札をドアノブに引っ掛け、内側から鍵を掛けた。
「ふぅ」
閉店後、熱いコーヒーを片手に店内で一息入れるのが日課だった。
普段コーヒーを飲んでいる間は特に何をする訳でもなく、ぼうっと窓の外の街明かりを見つめたり、店内の商品を眺めたりしているのだが、今日は違った。
彼は、名作絵画を鑑賞するのと同じような目つきでそれを見つめていた。
先程若い男が質入れしていった石像だ。
細部まで彫り込まれたそれは、今にも動き出しそうな程精巧に出来ていた。薄暗い場所で見たら本物の人間と見間違えるだろう。
「2,000は少し安かったかも知れんな」
質屋は改めて目の前の石像の価値を見出し、返却までの短い間「彼女」を眺めていられる事を嬉しく思った。






谷間を強調する為に思い切りずり下ろしたローブの上半身部。
腰まで見えてしまうくらいにスリットを広げた下半身部。
フレイヤはアインのペースに乗ってしまった事を少し後悔し始めていた。

なんとも居心地が悪かった。
街の喧騒が僅かに聞こえるが、締め切られた店内は別世界のようで。
そこにコーヒーをすする音。
共に身体を舐め回す男の視線。
正直恥ずかしい。
動けるのなら、顔を真っ赤にして逃げ出すところだ。
(アイン様が頑張ってるんだから、私も頑張らなきゃ)
フレイヤは自分にそう言い聞かせ、気をしっかりと持つ事にした。
(私、頑張りますから。アイン様、なるべく早く帰って来て下さいね)
彼女が頑張ろうが頑張るまいが、指一本動かせない状態である限り結果は変わらないのだが。

フレイヤの固まった笑顔は、アインへの信頼で生き生きとして見えた。






「げ…ぷっ」
椅子にもたれかかり、ぱんぱんに膨らんだ腹に手を当てる。
「凄いね。本当に一人で全部食べちゃったよ」
食堂を経営する夫婦は、共に驚きを含んだ呆れ顔でアインを見ていた。
「食った食ったー。おばちゃん、お愛想」
「はいよ、金45だよ」
「結構高いな」
「何だい、値段見ずに注文したのかい?」
「ああ、足りない事は無いだろうと思ってね。ほら」
テーブルの上に置かれた布袋を見て、夫婦は再び驚かされる羽目になった。


食堂の2軒隣に丁度宿屋があったので、今夜はそこに泊まる事にした。
「明日に備えてしっかり休んでおかないとな」
まずは武具屋に寄って装備を整える。
フレイヤがいないから、道具屋で傷薬を大量に買っておこう。
港から船に乗って目的の島へと渡る。
アインは布団の中で明日の計画を練っていた。
「よし、完璧だ」

満腹によって上昇した体温が、疲れきったアインを眠りへといざなう。
加えて今夜は「うるさい奴」がいないので、すんなりと眠る事が出来た。

―報酬を受け取ったらすぐに迎えに行くからな。もう少し我慢しててくれよ、フレイヤ。


走れアイン(1)

「アイン様、どうですか?似合いますか?」
フレイヤは入手したばかりのローブを身に付け、嬉しそうにくるりと回って見せた。
風と空気の抵抗で、深くスリットの入った下半身部―スカート部分がふわっと浮き上がり、彼女の白く柔らかい太股を下着が見えるギリギリのところまで目の前の男に晒していた。
「ああ。女魔導士用のローブってどうしてこう―」
「はい?」
「いや、そんなに露出が多くて防具として成り立つのか?」
「はい!凄いですよ、コレ。相当な魔力の持ち主が力を注ぎ込んだんでしょうね。
 私にも魔力がみなぎって来るのがわかります!炎や吹雪なんてへっちゃらですっ!」
余程嬉しいのか、フレイヤは胸の前で両手の拳をグッと握り締めて答えた。
「なるほどね。俺にはただの布にしか見えんが…。道理で高いわけだ。はぁ。」
はしゃぐフレイヤとは対照的に、アインは深く溜息を付いた。

フレイヤの執拗なおねだりに負け、高級なローブを買ってやった。
その為、現在無一文に近い状態にある。
すぐにアインは、その軽はずみな買い物を後悔する事となった。
「腹…減ったな。」
「はいっ。そろそろお昼ですね。あっ、そういえばこの先の角を右に曲がったところにある食堂の兎のスープ美味しいらしいですよ!さっき街の人が話しているのを聞いちゃいました!」
「いや、止めておこう。」
「え?アイン様、ダイエット中ですか?」
腹に手を当てて、ぐったりしていたアインだが、フレイヤのその言葉を聞くや否や、鋭い目つきでフレイヤに詰め寄った。
「ちゃうわ!金が無いんだよ、金が!」
「へ?」
「それに今度のクエストはこの街の港から船に乗らなきゃならないんだぞ!その船賃だって、今日の宿代だって…」
話すうちに感情が抑えきれなくなったのか、アインの目には涙が浮かんでいた。
「畜生。銀3枚じゃ、食パン一切れも買えやしねぇ…」
地面に手を付き、がっくりとうなだれた。

ナイスバディの女の足元に、泣き崩れる戦士―。
道行く街の人々は面白そうにその光景を見ながら通り過ぎていく。
「あっ!アイン様!フレイヤにいい案がありますよ!」
ポン。と手を突いて発言したフレイヤの顔を見上げる。
「なんだ?」
「手持ちの物を売っちゃえばいいんですよ。」
アインは溜息を付いた。
「換金アイテムなんて、いつもすぐに売っちまうからな。もうストックはないぞ。」
「いや、そうじゃなくてですね。」
「ん?」
フレイヤは人差し指を立てて、言葉を続けた。
「アイン様のその剣を―」
「バカもーん!戦士の俺がこれから素手で戦えってのか!?」
立ち上がり、凄い剣幕で怒鳴るアインにフレイアは臆する事はない。
僅かに谷間を露出させた胸の前で、両手の指を合わせニッコリと微笑む。
「成せば成りますよ。」
「ならねぇよ!!」
通行人達は、彼等の傍を避けて通るようになっていた。
「だったらフレイヤ!お前その杖売れよ!素手でも魔法使えるじゃねぇか!」
「ダメですよぅ。これは大切なお婆ちゃんの形見ですから。」

―ダメだこいつ。何故俺はこんなバカを連れ歩いているのだろうか。
フレイヤの魔法の才能はかなりのもので、幾度となく助けられた事がある。
それにルックスも悪くないので、むさ苦しい野郎よりも彼女と一緒の方が旅が何倍も楽しくなるだろう。
それにばっちり下心もあった。未だ何もしてないが。
「あああ…俺のバカバカバカ!!」
可愛い女の子との旅が、こんなにも厳しいものだなんて―。
泣きながら自分の頭をポカポカと殴り付けるアイン。
通行人達は、彼等のいる場所を通らず、迂回するようになっていた。

何度も何度も頭を殴り付けているうちに、脳が刺激されたのか。
「はっ、思い付いた!凄え俺!」
ピタッと拳の動きを止め、アインは自分を褒めた。
すぐにフレイヤの方へと向き直る。
「売らなくていい…質に入れればいいんだよ。」
「アイン様のその剣を質に…ですか?」
「ちげぇよバカ!」
「フレイヤのロッドもローブも嫌ですからね!」
フレイヤは杖を守るようにぎゅっと抱きしめ、身体を横に向けた。
「分かってるよ。質に入るのは―お前だ、フレイア。」
フレイアはきょとんとした顔で聞き返した。
「質屋って人身売買も取り扱ってるんですか?」
「訳ねぇだろバカ!」







場所を人気の無い、裏路地へと移し―。
「えー!?嫌ですよ。」
アインの案を聞いたフレイヤは即断した。
が、アインはそれを許さない。
「じゃ、さっき買ったローブ返品しよっか。」
「ええっ!?それも嫌です。」
「どっちか選べ。それしか俺達の生きる道は無えんだ。」
「アイン様の鬼ぃ~。」

ピクッ。

アインのコメカミ付近に血管が浮かび上がった。
「こうなったのは誰のせいだよ、ァアン!?」
「うう。」
「心配すんな、クエストの報酬を受け取ったらすぐに迎えに行くから。」
「約束ですよー、もう。」
フレイアは観念したのか、アインの案を行動に移すべく、目を閉じてごにょごにょと呪文の詠唱を始めた。
「ちょっと待った!」
「え?何ですか?」
「色気が足らん!それじゃ価値が下がってしまう!」
フレイヤの詠唱を止め、すかさずアインが彼女に近寄る。
「脚は…こう!」
言うが早いか、アインはフレイヤの脚を持ちポーズを作っていく。
右足に重心を置く。左脚は内側へ少し曲げ、爪先だけを地面に付ける。
「ここが肝心だ!」
左足に掛かっていたローブの裾を巻くし上げ、太股を大きく露出させる。
「アイン様。ちょと…恥ずかしいんですけど。」
しかし、今のアインの耳には何も入らないようだ。何かに取り憑かれたように、ローブの位置の微調整を行う彼の目は血走っている。
ローブの布が風で動かないように手で押さえたまま、アインは号令を出した。
「よっしゃ、今だ!」
「はぁーい。」
今度はフレイヤがダメだこいつ。とでも思ったのか、目を閉じて素直に呪文の詠唱を再開した。

それは、石化魔法。
対象は、詠唱者自身。
ローブのスリットを拡げたまま、アインは彼女の魔法の発動を待っていた。

「ふう。終わりましたよ。」
彼女が目を開くのと同時に、フレイヤの足元から石化が始まった。


アイン、フレイヤ共に冒険者として経験は決して乏しくはない。
故に、二人とも石化の経験はある。
慣れている…と言えばそうなのだけれども、この足元からじわじわと這い上がって来る冷たい感覚は何度経験しても気持ちの良いものでは無い。

フレイヤのショートブーツは既に石になっていた。
上から、覗き込むとブーツの隙間から足首まで石化が完了しているのが確認出来た。
すぐにその上、ふくらはぎ、脛へと石化が進行して来る。
太股までが完全に固まり、その後ローブに侵食して来てアインがやっと裾から手を離した。

「よし、次は上半身だ!」
「は、はい~!」
「胸元は…こう!」
アインがフレイヤの胸元を掴み、乳首が見えるギリギリのラインまで落とした。
「うむ、巨乳が際立ってなかなか良いぞ!」
「はい!」
アインの尋常ならざる勢いに押されたのか、フレイヤもいつの間にか力が入っていた。
「左手は腰に当てて!」
「はい!」
「右腕は軽く横に伸ばして、地面に杖を付けるんだ!」
「はい!」
「石化するまでそのまま動くなよ!あ、顔は正面、ちょっと微笑んでみよう!」


かくして―
企画、監修:アイン/材料:フレイヤ
「これで飯が食える!ふははははは!」
先程まで空腹でぐったりしていたとは思えぬアインの叫びが街に響く。
冷たく、硬い石の作品となった相棒を背負い、アインは後ろに砂煙が巻き起こる程の勢いで質屋を目指して一直線に走っていた。




正太郎の正体~ルージュ~

バニーガールの手が、自分の裸体を無遠慮に触ってくる。
今、自分がまさぐっているものが実は人間だとは知らずに。
そしてショートカットの女性客の指使い、そして舌使い。
「はぁ。気持ち良かったよなあ」
つい最近の記憶を引っ張り出し、彼はその余韻に浸っていた。

桜井 正太郎。19歳。
彼には、他人には無い特殊な力が備わっていた。
いつからそんな力が身に付いたのかは自分でも解らない。

―変身能力。
正太郎はその能力でサイコロに化けてカジノのイカサマ役をこなす事によってごく一般的に生活するには充分過ぎるほどの金を稼いで来たが、とある女性客に見破られ、以来イカサマは出来なくなった。
他の店で同じ様な事をしても、噂はそのうち彼女の耳に入り、同じ結果を招いてしまうに違いない。前回は注意されるだけで済んだが、次も同じ事をやってバレてしまったらきついお灸を据えられるに違いない。
正確に言えば、正太郎が恐れているのはその女性では無く、彼女のバックに付いている組織だった。
「ま、金ならまだまだあるしな」
貯蓄は充分にある。金の心配は残高が少なくなってからする事にしよう。今は、別の事を考えていたハズだ。
変身能力を金の為に使えないのなら―
「やっぱり、アレだよな。男として」




マンションの一室。
年齢は二十歳前後。大学生だろうか。
もちろん下着は身に付けているが、今彼女が着ているのは黒いキャミソールとクリーム色のハーフパンツのみ。出掛ける準備の真っ最中だった。

ペタペタを足音を出しながら化粧台へと向かう。
「あれ?」
化粧台に立ててある数本の口紅。その内の1本、フタをかぶせられていない口紅を見て声を上げた。
「見慣れないのが混ざってる。友達のが混ざったのかな」
それは、彼女には見覚えの無いものだった。
先日友人達が部屋に遊びに来た際に忘れていったのかも知れない。
「ちょっと興味あるけど、誰のか分からないし…。今日はこっちのを使おっかな。」
友人のものと思われる口紅の隣のものを伸ばした手が止まった。
静止する事、約5秒。
「でも、ちょっとこれも気になるかな。使わせてもらおっと」
伸ばした手は、友人の口紅を掴んだ。


「変わったデザインだな。ホント、誰のだろ」
口紅を回しながら外見をチェックする。
「ベージュ?変なの。中は?」
今度は口紅の中を覗き込む。
「ピンク…なのかな、これ。」
早速口紅の下の部分を捻り、先端を出す。
フタが無かったので、埃を気にしてか、指でさっと拭った。
「ピンクか紫かハッキリしない不思議な色…。似合えばいいんだけど。」


下唇の端へ口紅の先端を軽く押し当て、そっと反対側へ向かってなぞる。
「ん?」
色が付かない。
今度はもう少し力を込めて再び唇をなぞる。
彼女のふくよかな下唇が、ぐにっと押さえ込まれる。
「あれ?」
やっぱり色が付かない。


「おっかしいなぁ」
不思議そうに口紅を見つめる彼女だったが、
「何で色が出ないんだろ。結構顕著な色してるのに。温めてみる?」
と、思いつく。
指でぎゅっと握る。
口紅の中身の部分は既に温かい気がしたが、それはすぐに自分の体温が伝わったのだろう。特に気に留める事も無く、彼女は30秒程握っていた指を開く際、仕上げとばかりに、にぎにぎと指を動かした。
「ぷにぷに…する?これルージュじゃないの?」
確かにルージュは柔らかく折れやすい。が、弾力が感じられる程柔らかいものは初めてだった。
「ルージュだよね、どっから見ても」
目線より上に口紅をかざし、回して色んな角度から観察して見たが、ルージュにしか見えない。
外見のデザインも中身の色も一風変わっているだけに、他の口紅とは違う材料で作られているのだろうか。


「そろそろいけるかな。……だめかぁ」
時間を置いてチャレンジするが色は付かない。
既に彼女の中では、新しい口紅が自分に似合うかどうかと言う好奇心よりも、どうすればこの口紅を塗る事が出来るのかと言う探究心の方が強くなっていた。簡単に言えば、意地になっているだけである。
そんな彼女の性格も手伝って、この変わった口紅を塗る方法―いや、それ以前にこれは本当に口紅なのか―を発見すべく、観察や実験を続けていた。


「切ってみる?……勿体無いか、やめよ。あ、クレヨンもどきとか?」
近くにあったメモ用紙を取り寄せ、ごしごしと口紅の先端をこすりつける。が、やはり色は付かなかった。
「違うかぁ…あれ?少し赤くなった?」
擦りつけた部分が赤みを帯びた気がする。
確認するように指先でクリクリと弄る。
「温かくなってるのは、摩擦によるものだよね、うん。」
口紅の変化に少量の可能性を見出し、再度唇をなぞってみたが、結果は同じだった。


「味はするのかな?さすがに食べ物じゃないと思うけど」
口紅を数回、ペロペロと舐める。
「わ、変な味がする。何だこれ」
少ししょっぱかった。


「クレヨンでもないし、もちろん食べ物でもない。やっぱりルージュでいいんだよね。うーん、どうやったら塗れるんだろ」
彼女は再び下部を捻り、口紅を根元まで出して眺めた。
「意外に量は少ないみたいね。使い込まれてるって事は色も出るハズなんだけど」
最大限まで出した口紅が意外にも短い事。それが彼女をますます混乱させていた。
左手に持った口紅を凝視しつつ、うーんと唸りながら右手でぽりぽりと後頭部を掻く。
ついでに右の爪先で、左足首も掻く。
納得出来ない。ずっと考え、色々試してみても答えは出ない。
―たかが口紅1本にここまでおちょくられるなんて。


「あーもう!むかつくゥ!こんな不良品、足げにしちゃる!」
ポイッと軽く床の上に放り投げ、足の指で転がし始めた。
「別に足げにしたところで色が出るようになるわけじゃないんだけどね。…踏みつけてみようか」
大きな独り言を吐き、
「コロコロ転がして……ぎゅっとね」
足の指の関節部で押さえつけた。


彼女に踏まれた「柔らかい」口紅はムギュッと変形……しなかった。
「あれ?」
硬くなっていたのだ。今の方が口紅らしいと言えば口紅らしい。
全く解せない口紅の変化に彼女は首を捻る。
足の指で口紅を摘み上げ、それを手で取る。
「うん、確か変化してる」
硬さだけじゃない、サイズも少し太くなった気もする。


彼女はその変化を確かめるように、左手でぐっと口紅を握り、右の手のひらを回すようにして、先端を撫でていた。
「何だか良くわかんないけど…よし!」
今度こそと意気込み、根元まで出されたままの口紅の先端を自分の唇に当てる。
つつーっとなめらかに滑らせていたその時。


ブシュッ!!


「わっ!?ひゃあああ!?」
口紅から白い液体が飛び出し、彼女の顔面を直撃した。
「え?え?何よコレ」
一瞬何が起きたのかさっぱり解らず唖然としていたが、少ししてから白い液体が付着したままの顔に怒りの色が見え始めた。

「あ~い~つ~らぁ~~!!」

ジョークグッズ。電卓型やライター型の水鉄砲を見たことがある。
この口紅も、そんなドッキリ玩具の類だったのだ。
てっきり、先日部屋に来た友人達の誰かが忘れていったものだとばかり思っていたが、そうでは無かったのだ。初めから、彼女を驚かせる目的で、化粧台に仕掛けられていたのだ。

「こんな事するのはマユミだなぁ!?今度会ったらギャフンと言わせちゃる!」
口紅を握る彼女の手に力が込められる。
その際、小さく「ぐえ」と言う声が聞こえたが、外でどこかのドジが転んだのだろうと思い、気にはしなかった。



「てい!」

ガサッ!
化粧台の横に置いてあるゴミ箱に口紅型水鉄砲を投げ捨てる。
「あ~もう!顔がベタベタじゃない!何を入れたのよ一体」
彼女は顔を洗うべく、洗面台へと向かう。


数分の後、戻って来た彼女は、ゴミ箱に捨ててあるハズの口紅型水鉄砲が消えている事に気付きはしなかった。



さいきっく事件簿 ACT.5-4

― 5 ―



次の夜。
和泉は昨夜と同じカジノで同じ席に座っていた。
昨日と違う事と言えば、隣に茜がいない事くらいか。
当然、茜も和泉と一緒に入店するはずだったのだが、昨日の騒動が原因で入店を禁止されてしまった。
店の入り口に立つ男が2人掛かりで「は~な~せ~!」と叫ぶ茜の腕をがっしり掴み、ずるずると店の外へと引きずって行ったのだ。
(茜には悪いけど、いない方がやりやすいしね。)

美樹もその様をハラハラしながら見守っていたのだが、やがて彼女にとって「怖い客」の姿が見えなくなると、ほっと安堵の息をついたのだった。


そして、今夜もゲームが開始される。
当たり前のように、サイコロは客達が賭けていない目を出し続け、次々と金を巻き上げていった。
(間違いない。昨日と同じサイコロね。)

美樹が振ったサイコロがたまたま自分の近くに落ちた時、和泉がサッと取り上げる。
「あ、あの。」
「すみません、今日もちょっとだけ見せて下さいね。」

和泉が、サイコロを取ろうとした美樹の手を制止したその時、昨晩と同じように背後から声がした。

「またお客様ですか。そんなに当店を疑ってらっしゃるのですか?」
例の支配人だ。和泉は入店を許されたが、警戒されていないわけでは無いのだろう。
女支配人のあまりにも早い登場がそれを証明している。

「ええ、イカサマしてますよね。」
「あら、随分とハッキリ仰いますね。証拠はあるのかしら?」
「今から見せてあげますよ。」

和泉はサイコロをつまんだまま、指先で1の目をちょんちょんとつついてやった。
その時、サイコロがぶるっと小さく震えた事に気がついたのは和泉と支配人だけだった。
和泉は得意気な表情で、曇った表情の支配人を見た。

「ゲームが進みませんので、サイコロを返して頂けないかしら?」
「随分と慌ててらっしゃいますね。イカサマを見破られるのが怖いんですか?」
「なっ。」
図星だったのか支配人の表情が一瞬こわばったが、すぐに元の冷静な顔に戻った。
「いいでしょう。気が済むまで調べて下さい。イカサマでない事が解ったら、覚悟はできているんでしょうね。」
支配人は内心の焦りを隠すようにその場で腕を組み、強気な発言をしてみせた。

「気が済むまで調べて良い」と発言した事は果たして正解だったのだろうか。
すぐに取り押さえるべきだったのだろうか。
この娘はサイコロの正体に気付いているのか。それともタダのはったりなのか。
それはすぐに分かる事。そして、今の自分の言動の正誤についても。






和泉はつまんだサイコロを自分の目線と同じ高さまで持って行き、穴が空く程にしっかりと見つめていた。
支配人はその指が、汗が軽く濡れている事に気がついた。
あの汗は、「どちらのもの」なのだろうか。


パクッ。


思い切ったように、和泉はサイコロを自らの口の中へと放り込んだ。
この行動には支配人や美樹はおろか、事の成り行きを見守っていた客や店員達も目を丸くさせられた。
周囲の目に臆する事もなく、和泉は口内でサイコロを転がす。
少ししてからサイコロを口から出し、今度は舌の先で1の目をつつく。

美樹を含む周囲の者達は彼女の行動が理解できず唖然としているが、支配人だけは鋭い目つきで歯を食いしばっていた。
(正太郎君―)
この客は間違いなくサイコロの正体に気付いている。
となると、後はサイコロに頑張ってもらうしかない。
しかし、彼女の祈りも虚しくサイコロの1の目は「勃起」していた。
サイコロの表面から赤い1の目だけが盛り上がっているのだ。
和泉は盛り上がった赤い部分を指でくにくにと揉んでいた。
サイコロもいよいよ限界なのか、再び身体を震わせていた。

限界なのは、支配人の心理も一緒だった。
「わかったわ、私の負けよ。」
それを和泉はサイコロを弄る事を止め、ニッと勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
支配人は和泉の唾液にまみれたサイコロを奪い取り、店の奥へと走る。
和泉もそれに続いたが、支配人はそれを拒まなかった。

支配人室へと到着し、握っていた拳を開くと、その手の内には粘り気のある白い液体がべっとりと付着していた。
「やっぱりね。」
追ってきた和泉がその様子を見て言った。
サイコロが大きく震え始めたかと思うと、一瞬のうちにそのシルエットが膨張し人の形へと変化を遂げる。
「はぁ。はぁ。」
先程までサイコロだった全裸の青年が息を切らしている。
「正太郎君。」
「―ゴメン。」





「この事は公にするの?」
「イカサマは二度としないって誓う?」
支配人俯いたまま、返事をしなかった。
バレてしまった以上、今後もイカサマを続けるつもりは無い。
しかし、負けてしまった事の悔しさと余計なプライドが、彼女の返答を押さえ込んでいた。
「じゃあこれ。」
そんな支配人の心情を知ってか知らずか、和泉はカバンから一枚の紙を取り出した。
支配人は顔を上げ、無言のままそれを受け取る。
「誓約書。それを『うちの会社』に提出してくれれば、これ以上騒ぎを起こすつもりは無いから。」
カジノはこの翌月を以って、とある企業の監視下の元、営業を継続する事となった。


和泉と正太郎の2人は店の裏口より外へ出た。
正太郎は和泉から組織への勧誘を受けたが、もちろん彼は拒んだ。
和泉はそれ以上無理に彼を誘う事はしなかった。

「ただし、その能力でまた次もまたイカサマをしたら―」
「ど、どうなるんだよ?」
「恐ろ過ぎて言えないわ。」
「何だよ、それ。」
不安に陥る正太郎を見て、和泉はケラケラ笑う。
「とにかく。これに懲りたら同じ事をしちゃダメよ。今回のイカサマにアンタが絡んでた事は会社には言わないであげるから。」

『懲りた』と言うよりも『ある意味いい思いをした』正太郎だが
「わ、わかったよ。」
と素直に返事をしておいた。


尚、店内の様子を伺う為、そして一向に戻って来ない相棒の安否の確認の為、茜が小さくなって店内へと侵入したのは事件解決から2時間程経っての事だった。





さいきっく事件簿 ACT.5-3

― 4 ―



―っつう~。

まだ額がジンジンする。
私が入っている箱を、誰かが大きく揺さぶった時に、頭をぶつけてしまったのだ。
手で頭をさすりたいとこなんだけれど、それはできない。
とびっきり可愛い妖精の人形になっている私を、気が強そうな青いバニーガールが観察している。

私は「気を付け!」のポーズで身体を硬直させている。
青バニーがじっと私の顔を見ている時はまばたきさえしてはいけないが、私を裏返して背中を見ている時にさっと周囲を確認する。

この部屋にいるのは3人。
1人は今私を手にしている青いバニーガール。
1人はディーラーの男性。
そしてもう1人は、おとなしそうな顔つきの赤いバニーガール。

いた。さっきのサイコロゲームの進行役はこの赤バニーだ。
肝心のサイコロはどこにあるんだろう。
カジノのスタッフルームへの侵入に成功したとは言え、まだ自由に動き回る事はできない。
この場にいる3人がいなくなるまで、おとなしく待っていなければならないのだ。

「じゃあ俺はラウンドの片付けに戻るわ。お前等も休憩が終わったら来てくれよ。」
男が部屋から出て行った。
「だってさ。」
「うん、私達もそろそろ手伝いに行かないとね。」
「いいじゃん、もう少しゆっくりしようよ。」

2人のバニーガールはソファの上に腰を下ろした。
2人はしばらくの間、私を弄ったり談笑していたが、やがて手持ち無沙汰になったのだろう。
私と、テーブルの上に置いてあったサイコロを絡めて遊び出した。
私の足でサイコロを蹴ったり、サイコロの上に立たせようとしてみたり。
このサイコロが例のイカサマ疑惑のものだろうか。

「おーい。2人とも何してんだ。いい加減手伝えよ!」
ドアの向こう側から先程の男の声がした。
「ほら、青野さん怒ってるよ。」
「もー、仕方ないわねぇ。」
私をバランスよくサイコロの上に立たせたまま、2人のバニーガールは部屋を出て行った。




「ふぅ。」
やっと身体の自由を許可された私は力を抜き、そのまま足元のサイコロの上に腰掛けた。
人形のフリをする事には慣れているものの、相手に顔を覗き込まれている時の緊張感だけは何度経験しても慣れるものではない。
そうそうバレる事はないだろうと、ある程度の自信はあるものの、心臓が早鐘を打つのはどこかに不安が残っているからだろうか。

私のお尻の下にあるサイコロをぺちぺちと叩きながら考える。
これが例のサイコロなんだろうか。
まずはそれを確認しなくちゃいけない。

「和泉!」

ビクゥッ!

ふいに名前を呼ばれ、サイコロに座った状態のまま、反射的に人形のフリをした。
「アハハ、ウチやてウチ!」
聞き覚えのある声と言葉使い。もしかして―。
身体を硬直させたまま、目だけで声の主を探す。
「ここ、ここ!」
私が向いている正面。上にぬいぐるみや人形、花束が並べられている棚がある。おそらくこの店への贈り物なのだろう。
そこで、大きく手を振っている人形―いや、小人が1人。

―やっぱり。

茜だった。
「ふぅ。」と再度溜息を付き、棚の上でアピールしている彼女を見据えた。
「何でアンタまでここにいるのよ!」
「ウチかて大したもんやろ?和泉より早うに侵入したったで!」
茜は私の問いには答えず、得意満面な笑みを浮かべている。
「1人で待ってろ。」と言われて、おとなしく従うような性格でない事は知ってたけど、まさか先に棚の上の人形群の中に紛れてたなんて。
茜は棚の取っ手を足場に、ヒョイヒョイと身軽に床に下りると、今度は私がいるテーブルの上まで這い上がって来た。
「ふぃ~。」
「茜、服そのままじゃないの。」
私は可愛い妖精に『変装』しているから良いものの、茜は服ごと縮小してから着替えてないらしい。
いくら小さくなったとは言え、さっきまで店内で騒いでいた客と瓜二つの人形が落ちていれば店員達は不審に思うだろう。
「見つかったらどうするのよ、そんな格好で。特にアンタの顔はこの店の人間達にがもう覚えられてるわよ、きっと。」
「大丈夫やて、見つかってへんねんから。結果オーライや!」
呆れた。彼女の事だ。私とは違い、店内を走り抜けてここまで走り抜けてきたのだろう。
その姿が容易に目に浮かぶ。
「そうそう、そのサイコロが例のヤツやで。閉店度、あの赤いバニーが持って来よってん。」
なるほど。私が丁度欲していた情報を、茜は提供してくれた。
「な、ウチかて役に立つやろ?」
「まーね、ちょっとは認めてあげるわ。よっと。」
私はサイコロからテーブルの上に下りた。
「さてと、このサイコロだけど、どう?茜は何か不審に思う事ある?」
「うーん、まだ。サイコロ側に仕掛けが施されてるとも限らへんしなぁ。」
そうなのだ。イカサマといっても、サイコロには特に何も仕掛けず、店員が何らかの方法で操っている可能性だってある。

通常カジノ等の賭博場では、仕掛けが無い事を証明する為にプラスチックやガラスと言った透明の素材で作られたサイコロが用いられる。だけど、今私達の目の前にあるのはごくごく一般的な白いサイコロ。
中に何かが仕込まれている可能性もあるけど、金属は探知できなかった。
『特定の目だけ』を出やすくするのなら簡単なんだけど、客の賭け目をことごとく外すその仕掛けがわからない。
やっぱり、あのバニーが何かしているのだろうか。正直、あの支配人も怪しい気がする。

「でもあの赤いバニー、何も知らん感じやったで?」
「とりあえず、バニーや他の店員の可能性を考えるのは、このサイコロが『白』だと判明してからね。」




「なぁ和泉。このサイコロやっぱおかしない?」
サイコロの向こう側、つまり6の面を調べている茜が言った。
「うん?」
1の面を調べていた私は一旦手を止めて聞き返した。
「おかしいって、どうおかしいのよ?」
「分からん。」
「何よそれ。」
「サイコロなんやけど、サイコロじゃない気がすんねん。」
ますます意味がわからない。

茜の直観力には目を見張るものがある。
時々ではあるが、何の根拠も無い彼女の発言がズバリ的中する事があるのだ。もしかしたら、それも彼女に備わった縮小能力以外のもう1つの能力なのかも知れない。
「だからそれってどう言う事?」
「うーん、わからん。」
サイコロだけど、サイコロじゃない。どういう事なんだろう。
とりあえず茜も現段階ではこれ以上何も分からないようなので、私もサイコロの調査を再開する。
なんとなく、1の目に手を入れ、内を掻き回すように触ってみる。
茜は何を思ったのかサイコロに抱きつき、何故か頬擦りをしている。
「…何してんのよ?」
「何か分かるかなと思って。」
本気なのか、ボケなのか分からないが突っ込む事はしなかった。
その時、私が触っていた1の目が少し柔らかくなった気がした。
「え?」
それどころか、凹んでいたハズの1の目が徐々に表面に出てきているのが分かった。
「何よこれ。」
手で押してみると、弾力がある事が分かる。
明らかにサイコロの持つそれとは異質な感触。

「えい。」
軽く蹴ってみた。
ぐにゃっとした感触が足の裏に伝わって来た。

うっ。

「え?」
「あ?」
「茜、今なんか変な声出した?」
「いや、今の和泉のんとちゃうの?」
「何で私なのよ!」

ガチャ。
つまらない問答をしていると、急に部屋のドアが開き、赤い方のバニーガールが顔を覗かせた。
後片付けを含む、一日の業務を終えたのだろう。彼女の服装は普段着へと変わっていた。
彼女の急な出現に茜は隠れるタイミングを逃し、その場で人形のフリをする。もちろん私も可愛い妖精人形へと戻る。
バニーガールでは無くなったバニーガールは少し焦ったように部屋に入って来るなり、辺りをキョロキョロと見回した。
「あ、あったぁ~!」
一直線にこちらに向かって来ると、サイコロを手に取り嬉しそうに独り言を漏らした。
「オーナーに返すの忘れてた…。失くしちゃったかと思ったよ~。」
目の端からほろりと涙を流しながら、パタパタと足音を立てながら調査中のサイコロを持って行ってしまった。
彼女がサイコロの横に転がっていた茜に気が付かなかったのは不幸中の幸いか。
「持って行かれちゃったね。」
2人揃って身体を起こしながら、名残惜しそうにバニーが出て行った方向を見つめていた。
「引き上げ時かもな。あのサイコロは支配人に返さなアカン言うてたし、これ以上調べるのは無理やろ。」
「そうね。」
でも今日の収穫は大きかったと思う。
サイコロのあの感触は何だったんだろう。
あの柔らかさは、むしろ生物的なものを感じる。
そして確かに温かかった。

やはり今日のイカサマにはサイコロの方に何かがある。
バニーはどうやら無関係のようだ。
静まり返ったカジノから抜け出す際、茜も同じ事を言っていた。


―もしかしたら、今日の収穫だけで充分かも知れない。




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